37-70　事例問題　介護福祉職の対応

第37回問70 Bさん（68歳、女性、要介護1）は、ヨーロッパで生まれ育ち、50歳のときに日本人と結婚した。65歳で夫と共に日本で暮らすようになったが、日本語は十分に理解できない。半年前に脳梗塞を起こし、利き手に麻痺があり、立ち上がりも不安定である。現在は介護老人保健施設に入所し、在宅復帰へ向けたリハビリテーションを行っている。Bさんはこれまでの生活様式を守り、自宅で自分のペースで食事ができるようになりたいと希望している。次の記述のうち、Bさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

入所中は母語を使わずに、日本語を話すように伝える。

誤りです。言語的な背景を無視して「日本語のみ」とするのは、本人の不安を高め、適切なコミュニケーションの妨げになります。介護職が理解できない場合には身振り手振りやイラストを使用するなど非言語的コミュニケーションを活用することも考えられます。

居室の床に布団を敷いて、寝起きができるようにする。

誤りです。布団は基本的に要介護の高齢者の寝起きに不適切と考えましょう。また、リハビリをしている人の寝具を選ぶときは専門職と連携する必要があります。

自分で食事ができるように、自助具の使用状況を確認する。

正しいです。本人の目標（自宅で自分のペースで食事する）に向けて、自助具を使ってどのくらいできるか確認するのは、自立支援の基本であり、適切な支援内容です。

ほかの利用者と同じ時間に食べ終えるように伝える。

誤りです。認知症や身体機能に配慮すべき利用者に対して「みんなと同じ時間で食べなさい」と一律の対応を求めることは不適切です。みんなに同じ支援をするような「個別支援」の原則に反している選択肢が正解になることはありません。

日本の生活に合わせるように、余暇活動の内容は介護福祉職が判断する。

誤りです。「利用者本位」の原則に反しています。介護福祉職が一方的に決めている選択肢はすべて間違いです。

どんな場合でも「本人に寄り添う」選択肢が正解でそれ以外は誤りです。この問題でも選択肢を見るだけで答えがわかります。

問題に関して言えば、Bさんは、文化的背景や言語に違いがある中で、在宅復帰を目指して自立支援を受けている状態です。介護福祉職は、本人の生活歴や希望を尊重しながら、残存機能（本人ができること）を活かす支援を行うことが重要です。
ここでは「本人の希望（自宅で自分のペースで食事）」に注目し、それを実現するための支援が求められています。

第37回問70
Bさん（68歳、女性、要介護1）は、ヨーロッパで生まれ育ち、50歳のときに日本人と結婚した。65歳で夫と共に日本で暮らすようになったが、日本語は十分に理解できない。半年前に脳梗塞を起こし、利き手に麻痺があり、立ち上がりも不安定である。現在は介護老人保健施設に入所し、在宅復帰へ向けたリハビリテーションを行っている。Bさんはこれまでの生活様式を守り、自宅で自分のペースで食事ができるようになりたいと希望している。
次の記述のうち、Bさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。