37-66 事例問題 BPSDへの対応

第37回 問66 Aさん(75歳、女性)は、3か月前に血管性認知症(vascular dementia)を発症し、軽度の左片麻痺で杖歩行となり、要介護3と認定された。Aさんは料理が大好きで、娘と一緒に食事を作ることを楽しみに生活していた。1か月前から認知症が進行し、ユニット型介護老人福祉施設に入所した。Aさんは夕方になると、「ご飯の支度をしないといけないから帰ります」と言いながら、興奮して歩き回る様子がみられるようになった。 Aさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
居室に鍵をかけて、自室で過ごしてもらう。
誤りです。 居室に鍵をかけて閉じ込めるのは身体拘束にあたります。本人の意思や尊厳を無視する行為です。 身体拘束を介護職ひとりの判断で行うのはあり得ません。
介護福祉職と一緒に、夕食の準備をしてもらう。
正しいです。 Aさんは料理が好きで、夕方になると「ご飯を作らなきゃ」と落ち着かなくなる様子(夕暮れ症候群)がみられます。このような場合には、本人のこれまでの習慣や役割を生かした「役割をもった活動」への参加が、安心や自信につながります。
杖を預かり、低めの丸椅子に座ってもらう。
誤りです。 移動手段を奪う、転倒の危険のある椅子に座らせる、とやってはいけないことを2つもやってます。 安全への配慮が必要なのは確かですが、特に認知症の人は無理に動きを制限するとかえって不安や混乱を強めることがあります。
介護福祉職の判断で、向精神薬を服用してもらう。
誤りです。 薬の使用は医師の判断によるべきものであり、介護福祉職が勝手に指示することはあり得ません。
ここがAさんの自宅であることを、理解してもらう。
誤りです。 認知症の方に「ここが施設ですよ」と現実を押しつけても、不安や混乱を招くことが多く、逆効果です。本人の思いを受け止め、寄り添った対応が求められます。
夕方になると落ち着かなくなる症状は認知症のBPSD(周辺症状)のひとつで、「夕暮れ症候群」といいます。BPSDは原因への適切な対処で改善することがあります。 この問題では、自分の習慣や役割を思い出して慌てている様子がみられるため、「役割をもった活動」への参加をともに行うと良さそうです。 問題自体は選択肢を見るだけで答えはわかります。「本人の思いに寄り添った」行動が正解です。

第37回 問66
Aさん(75歳、女性)は、3か月前に血管性認知症(vascular dementia)を発症し、軽度の左片麻痺で杖歩行となり、要介護3と認定された。Aさんは料理が大好きで、娘と一緒に食事を作ることを楽しみに生活していた。1か月前から認知症が進行し、ユニット型介護老人福祉施設に入所した。Aさんは夕方になると、「ご飯の支度をしないといけないから帰ります」と言いながら、興奮して歩き回る様子がみられるようになった。
Aさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ここがAさんの自宅であることを、理解してもらう。
  • 居室に鍵をかけて、自室で過ごしてもらう。
  • 介護福祉職の判断で、向精神薬を服用してもらう。
  • 杖を預かり、低めの丸椅子に座ってもらう。
  • 介護福祉職と一緒に、夕食の準備をしてもらう。

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